2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22800065
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
戸田 穣 金沢工業大学, 基礎教育部, 講師 (00588345)
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Keywords | 建築資料 / 建築アーカイブズ |
Research Abstract |
2011年度は、海外建築アーカイブズ調査においてはフランス建築協会(IFA)、オランダ建築協会のアーカイブズを重点的に調査した。また国内アーカイブズ調査としては、2011年度から着任した金沢工業大学建築アーカイヴス研究所所管資料ならびに日本建築学会建築博物館所蔵資料について、アーカイブズのメタ・データの取り扱いを中心に調査した。日本においては、いまだ建築アーカイブズの横断的な検索システムは構築されていない。そこで、すでにweb上に整備された建築アーカイブズ検索システムArchiWebture(archiwebture.citechaillot.fr/)をもつIFAの現地調査・目録調査の結果と、国内の事例として日本建築家協会と金沢工業大学で組織されるJIA-KIT建築アーカイヴスの資料の取り扱いについて考察した。 IFA20世紀建築アーカイブズとJIA-KIT建築アーカイヴスとを比較すれば、後者において<担当者><構造・階数><延床面積><建築面積><敷地面積><施行>等、建物規模等の図面から読み取れる情報はすべて転記する方針であり、美術資料としてのみならず産業資料としての側面を重視しているといえる。一方でIFAに比して建築家が作品に関与する経緯や、また資料形成のコンテクストに関する情報、さらには作品そのものに対する記述に乏しい。たんに資料を収集・整理・保管するだけでなく、資料保存を知的生産へと還元する仕組みづくりが必要であろう。日本における建物資料の保存という問題は、緒についたばかりではあるが、資料の保存ばかりに意識が向き、その公開性には留保のつく資料も多い。資料の公開は、建築資料保存の重要性を一般に啓蒙するとともに、さらなる建築資料保存の展開を促すものである。今後も運用を前提とした資料整理のあり方を模索する上で、建築アーカイブズにおいて先進的な地域の取組の調査は意義をもつ。
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