Research Abstract |
近年,社会環境下におけるストレスが重篤な疾患を引き起こす要因であるとして,社会的に重要視されており,情動因子を伴うことで心身に対する負担が高まると指摘されている.このことから,疾患を発症する前のストレス状態を評価するための,客観的指標の確立が望まれている.そこで本研究では,「ストレス状態に関連した脳・自律神経機能活動の多元的相互影響性について定量評価」することを目的とした.評価には,脳機能評価として脳波と機能的磁気共鳴画像法(fMRI),自律神経機能評価として心電図と脈波を用い,「正常時とストレス状況下における脳・自律神経機能について,統合的に相互影響性の違い」からストレス状態の正確な把握を目指す.本年度の結果は,次の通りである. 1. ストレス及び情動に関連する脳機能活動領域の調査 先行研究より情動,認知,記憶に関連する領域,情報伝播や統合に関与する領域,自律神経機能の影響を含めたストレスに対して高い感受性を示す領域を調査した. 2. 各種生体計測とストレス状態の調査 情動的な視聴覚画像刺激を用いたストレス状態を引き起こす実験により,各種生体信号の取得と,心理検査による被験者のストレス状態,及びストレス関連因子の調査を行った. 3. 情動ストレス負荷に対する脳機能活動性の評価 1の調査により,ストレス及び情動に関連する脳機能活動領域について,複数の領域において活動の報告が認められた.現在,これらの領域を基に,2で取得したfMRI測定データに対して,関心領域解析を進めている.
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