2010 Fiscal Year Annual Research Report
確率的ネットワークの性能解析を行うための効率的なアルゴリズム
Project/Area Number |
22800076
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
安藤 映 崇城大学, 情報学部, 助教 (20583511)
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Keywords | グラフ最適化問題 / ブロードキャスト時間 / 確率的な通信時間 / 確率分布計算 |
Research Abstract |
本研究は,確率的なシステムの振る舞いを解析する効率的なアルゴリズムの設計のための指針を理論として構築をすることを目標としている.具体的な内容として,今年度は以下のような確率的なネットワークにおけるブロードキャスト時間を見積もるアルゴリズムの設計およびその計算時間の見積もりに注力した:対象とする確率的ネットワークは,プロセッサが通信路によって相互に接続されている計算機ネットワークの中で,あるプロセッサから隣接するプロセッサへメッセージを送信する時間が確率的に変化するようなネットワークである.予備研究において,環状のネットワーク・カクタス状のネットワーク・弦つきの環状ネットワークにおいて,ブロードキャスト時間の分布関数を効率的に計算可能であることが予想されていた.これに対し,まず平成22年9月22日のアルゴリズム研究会ではカクタス状ネットワーク構造の中で,閉路のサイズが定数で抑えられるようなネットワークに対するアルゴリズムを提案した.次に,平成23年3月7日にアルゴリズム研究会においては、一般のネットワーク構造に対して適用可能な手法を提案した.3月の提案手法はブロードキャスト源となるプロセッサ(頂点)から幅優先探索を行った際の最大幅が定数で抑えられるようなネットワーク構造であればネットワーク規模の多項式時間で計算が完了する.そうしたネットワーク構造の中で,よく知られているものにはサーキュラントグラフと呼ばれる構造などが存在し,当初の見込みよりも広い範囲のクラスに属するネットワークにおいて効率的にブロードキャスト時間の分布関数を計算しうることが分かった.
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