2011 Fiscal Year Annual Research Report
確率的ネットワークの性能解析を行うための効率的なアルゴリズム
Project/Area Number |
22800076
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
安藤 映 崇城大学, 情報学部, 助教 (20583511)
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Keywords | グラフ最適化問題 / ブロードキャスト時間 / 確率的な通信時 / 確率分布計算 / 確率的な枝長さ / 最短路問題 |
Research Abstract |
本研究は,確率的なシステムの振る舞いを解析する効率的なアルゴリズムの設計のための指針を理論として構築をすることを目標としている.具体的には,確率的なネットワークにおけるブロードキャスト時間を見積もるアルゴリズムの設計およびその計算時間の見積もりに注力した.ここでいう確率的ネットワークとは,プロセッサが通信路によって相互に接続されている計算機ネットワークの中で,隣接プロセッサ間の通信時間が確率的に変化するようなネットワークである.特に今年度はブロードキャスト時間を求めるためのアルゴリズムの研究を発展させて,同様のネットワークの中で2点間の通信にかかる時間の分布を求めるためのアルゴリズムを研究した.特に平成23年7月21日にLAシンポジウムで研究発表舌際に重要な進展があった.ここではある独自の条件を満たすグラフクラスでブロードキャスト時間の分布をグラフ規模の多項式時商で計算しうるという発表を行ったが,コメントとしてグラフ形状を表すパラメータとしてpathwidthについてアドバイスを得た.よく調査を行った結果,pathwidthとよく似たtreewidth(木幅)が定数で抑えられるようなグラフ全般について,提案アルゴリズムがグラフ規模の多項式時間で完了することの証明に繋がった.8月に論文共著者のJoseph Petersを訪問してディスカッションを行い,論文誌に投稿するためのまとめ作業を開始した.平成24年1月28日のアルゴリズム研究会における発表では,Taylor多項式を用いた近似を行う事で,枝重みの従う確率分布として指数分布以外の様々な分布に対応したアルゴリズムを提案した.なお,この際には提案アルゴリズムがグラフ規模の多項式時間で完了するための条件として,木幅が定数で抑えられることのほか「頂点の最大次数が定数で抑えられる」という条件が必要だったが,その後すぐに適切なグラフ変形で頂点の次数を制限する必要がなくせることが分かり,その内容について平成24年3月16日のコンピュテーション研究会で発表を行った.
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