2010 Fiscal Year Annual Research Report
自発的な意思決定に関わる神経基盤の電気生理学的な解明
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22800080
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
松本 敦 生理学研究所, 統合生理研究系, 特別協力研究員 (20588462)
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Keywords | 自由意思 / MEG |
Research Abstract |
本年度の研究では,脳磁図(MEG)を用いて,電気活動のソース解析と領域間のネットワーク解析による意思決定ネットワークと意思知覚ネットワークの同定を目的として実験を行った.実験ではLibetの実験パラダイムを用いて,指を動かすという自発的な行動に関わる電気生理学的な基盤を明らかにすることを目的とした.被験者は自分の好きなタイミングでボタンを押す.この条件を自発条件とする.被験者はこの条件に加えて,自分の意志ではなく,特定の音がなったらボタンを押す条件(誘導条件)も行う.この課題をMEG内で行う.データ解析は時間-周波数解析とSPMを用いたソース解析によって各領域の活動の定量化を行った.各領域の活動の時間的特性(活動順序)と,どの領域からM1に情報が流れているのかを調べることによって,自発的な意思が発生している場所ネットワーク,意図の知覚に関わるを同定できるはずである.現時点までの解析では,自発条件では誘導条件に比較して,右半球の前頭葉背外側部(DLPFC)や補足運動野,左半球の頭頂葉などでbeta帯域の活動が抑制されていた.Beta帯域の抑制は神経細胞の活性化と関連しており,これらの領域が意思決定と,行動意図の知覚に関与している可能性が示唆された.これらの領域間でどのようなネットーワークが形成されていることかを検討することが急務とされる.現在,Dynamic Causal Modeling (DCM)によって神経ネットワークを解析中である.
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