2010 Fiscal Year Annual Research Report
北日本における第四紀後期の山麓斜面および河成段丘の高精度地形面編年
Project/Area Number |
22800088
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
近藤 玲介 独立行政法人産業技術総合研究所, 地質情報研究部門, 産総研特別研究員 (30409437)
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Keywords | 北日本 / 第四紀後期 / 地形面編年 / 斜面 / 段丘 / 発達史 / 古環境 |
Research Abstract |
1.内容 本研究は,北日本における斜面や周辺に分布する段丘の高分解能な編年を目的として行われた.平成22年度は,北海道南西部の遊楽部川流域の河成段丘,北海道北部の利尻島山麓の扇状地,同オホーツク海側のクッチャロ湖周辺の段丘および沖積低地を対象地とし,野外調査および室内作業・実験を行った. 2.実施項目と進行状況 実際の研究内容・スケジュールは,概ね事前の計画通りに進行している.遊楽部川流域の段丘からは,複数のテフラを見出すとともにOSL年代試料を採取した(2010年10月).利尻島の扇状地では,地形の記載(同10月)とOSL年代測定(同11月~2011年2月)の結果,扇状地面の一部はおよそ3万年前頃に堆積し,その後2万年前頃に周氷河作用が生じていたことが明らかとなった.クッチャロ湖周辺では,ボーリング掘削によってコア試料を採取し,記載と各種試料採取をおこなった(2011年3月),現在は,これらの野外調査時やコア試料から得た各種試料についての実験・分析を進めるとともに,順次成果の公表の準備を行っている(一部発表済み). 3.意義・量要性 各種試料を用いた堆積物の年代推定の結果からは,陸域の寒冷な古環境の指標となりうる地形に対して高分解能な時間軸を投入が可能となる.コア試料の解析結果も地形学的・年代測定学的成果にあわせ,有機的に結び付けることによって,寒冷期の山麓から海岸部に至るまでの気候環境・堆積環境と地形発達の応答について詳細かつ新たな知見を得ることができる.2年目にあたる平成23年度は,総合的な成果のとりまとめに向け,引き続きこれらの実験・分析作業を行う.
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