2011 Fiscal Year Annual Research Report
末梢性疲労および中枢性疲労の検証と両者の関係性の解明
Project/Area Number |
22800090
|
Research Institution | National Institute of Technology, Kumamoto College |
Principal Investigator |
高橋 恭平 熊本高等専門学校, 共通教育科, 助教 (20585492)
|
Keywords | 筋疲労 / MRI / T1 / T2 |
Research Abstract |
本研究は、末梢性疲労と中枢性疲労の検証を行い、さらに両者の関係性を明らかにすることが目的であった。これらが明らかになれば、スポーツ現場では調整期のアスリートに対して最適なピーキング方法を提案でき、あるいは医療現場では脳血管障害による運動機能障害を持つ患者に対して意欲亢進と学習効果のバランスが取れた運動刺激を処方できるなど、多くの社会的貢献が期待できる。 以上の目的を受け、初年度はMRIと筋電図を用いた末梢性疲労の評価を行った。被験者は、動的足首背屈運動を2分間+5分間休息というセットを3回繰り返した。休息の5分はMRI撮像に必要な時間であった。MRI撮像は下腿部において行い、前脛骨筋と長趾伸筋、ヒラメ筋のTl値を評価した。前脛骨筋と長趾伸筋のT1値は運動1回目から運動3回目まで漸増し、全3回の運動終了後回復期30分経過しても運動前の基準値へ戻らなかった。別日に同様の運動・実験プロトコルを用いて前脛骨筋において筋電図(RMS)の評価を行った。筋電図においてもT1値の動態と同様の変化を示したことから、T1値は筋疲労を妥当に評価できたことが考えられる。T1値は熱に依存して変化することが知られている。そして、筋には熱に敏感な求心性神経(III群とIV群)が存在している。したがって、筋疲労に伴い筋温が上昇したことを中枢がキャッチし、パフォーマンスの低下を誘発させたという可能性が示唆される。 初年度の結果を確認するために、最終年度は脳内のMRI撮像を試み、脳血流動態の評価を行った。しかし、初年度と同様の運動(動的足首背屈運動)中の脳のMRI撮像は、頭部が動いてしまうためにノイズがひどく、うまく撮像できなかった。それ以降頭部の固定を幾通りも試したが、残念ながらうまくいかないまま最終年度を終えた。 脳血流動態の評価まで至らなかったものの、初年度の成果は、今後この分野の研究をさらに進展させることができる画期的な成果であるといえる。従来、T1の評価はMRI撮像に時間がかかるなどの理由から行われず、T2による評価が多かった。しかしながら、本研究の成果(T1評価)は、T2による評価よりも精度の高い評価が行える可能性も示唆した。今後も筋疲労とTl評価の研究をさらに進展させると共に、運動中の脳血流動態の評価も継続して検証していく。
|
Research Products
(2 results)