2011 Fiscal Year Annual Research Report
軽度認知障害を有する高齢者の歩行と脳血流に関する研究
Project/Area Number |
22800093
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Research Institution | 独立行政法人国立長寿医療研究センター |
Principal Investigator |
土井 剛彦 独立行政法人国立長寿医療研究センター, 自立支援開発研究部, 流動研究員 (60589026)
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Keywords | 高齢者 / 軽度認知障害 / 歩行 |
Research Abstract |
本研究では、軽度認知障害の者に対し、運動が認知機能向上に効果を有しているかを明らかにするため、歩行とその課題設定に焦点をおき、近赤外分光法(near infrared spectroscopy:NIRS)と小型モーションセンサーを用いて、運動学解析と脳活動評価の両面から検討することを目的とした。平成23年度の中心的課題は、軽度認知障害高齢者における、歩行時の脳活動を明らかにすることである。歩行時の脳活動を検討するためNIRSを用いた検討方法を予備実験にて確立し、実施した。軽度認知障害高齢者の選定は、一般的な基準であるPetersonの基準を用い、全体的な認知機能に異常はなく、日常生活に問題が無く、記憶や遂行機能などの各神経心理学検査において軽度の認知機能低下が認められる者とした。軽度認知障害高齢者における歩行時の脳活動は、通常歩行時よりも応用的な歩行(同時課題歩行:dual-task gait)を行う際に前頭葉を中心とした有意な脳活動の上昇がみられ、その賦活の程度は情報処理や遂行機能などの神経心理学検査との相関関係も見られた。このため、軽度認知障害高齢者において前頭葉の脳賦活を高めるには通常の歩行ではなく、応用的な歩行を行うのが適していると考えられる。これらの成果については、認知機能低下予防プログラムを開発する上で非常に意義のある基礎的検討であり、同時課題歩行が介入プログラムになりうる可能性が示唆された。
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Research Products
(2 results)