2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22800094
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Research Institution | Research Institute, Osaka Medical Center for Cancer and Cardiovascular Disaeses |
Principal Investigator |
伊藤 ゆり 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), がん予防情報センター, 研究員 (60585305)
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Keywords | がん登録 / 治癒モデル / 生存解析 / 治癒率 / がん医療の評価 |
Research Abstract |
がん医療の評価を行うために、地域がん登録資料を用いて、1975-2004年に診断された大阪府のがん患者のデータを治癒モデルに適用し、治癒割合および非治癒患者の生存時間の中央値の推移を部位別に推定し、Verdecchiaらの分類に基づき、以下のように評価した。(1)治癒割合、非治癒患者の生存時間がともに向上した部位=「早期発見、治療ともに向上」:食道、胆嚢・胆管、肺(全期間を通じて)、胃、大腸、膵臓、卵巣、前立腺(1980年代後半まで)、(B)治癒割合は向上、非治癒患者の生存時間は短縮=「選択的改善」:胃(80年代後半~90年代後半)、乳房、子宮(70年代後半~80年代前半)、(C)治癒割合は変化無し、非治癒患者の生存時間のみ延長=「生存時間の延長またはリードタイムバイアス」:肝臓(全期間通じて)、胃、大腸、卵巣、膵臓(1990年代~2000年代)、(D)非治癒患者の生存時間は変化がなく、治癒割合のみが向上=「過剰死亡リスクのない集団の追加」:前立腺(1990~2000年代)、膀胱(70~80年代)と分類された。 パターンAの部位では1970~80年代にかけて、早期診断および治療技術が進歩し、治癒割合、非治癒患者の生存時間の中央値が大幅に向上した。また、パターンBの部位では、早期発見が可能な部位で、治療可能な進展度のがんに対し、根治的な治療が可能となってきた時期に該当するといえる。また、パターンCの部位に関しては、根治的ではないものの化学療法や放射線療法など延命に寄与する治療法が発達した時期に該当するといえる。パターンDは、過剰診断により、一般集団と同じ死亡リスクの集団が患者として診断されるようになった場合に起こる変化であるが、1990年代以降のPSA検査の普及による前立腺がんの過剰診断の増加にも一致している。
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Research Products
(18 results)