2011 Fiscal Year Annual Research Report
海色衛星観測と生態系モデルによる一次生産者群集構造と海洋二酸化炭素分圧との関係
Project/Area Number |
22810001
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平田 貴文 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 特任助教 (80576231)
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Keywords | 海洋科学 / 海洋生態 / リモートセンシング / 環境変動 |
Research Abstract |
平成23年度は、(1)全球衛星海洋変数(例:海面水温SST,Chlorophyll-a濃度Chla,混合層深度MLD)とTakahashi et al(2009)によって得られる海洋二酸化炭素分圧(pCO2)との関係を、前年度とは異なる統計解析手法を使って定量化し、pCO2の時系列を作成すること、(2)再現されたpCO2とPFTデータセットやモデルを使って、海洋生態系のpCO2の変化との関係を統計解析しながら、気候変動指標(例:ENSO指数,インド洋ダイポール指数,北大西洋振動指数)との関連を考察すること、を行なった。解析の結果、主成分分析を応用しすることによって、上記の海洋変数からTakahashiらのpCO2をよく再現できることを確認した。また、主成分分析を利用して衛星データより得えらた全球pCO2の時系列と、全球植物プランクトンの群集構造(PFTs)の時系列や気候変動指標の時系列との関係を解析したところ、pCO2と大型の植物プランクトンに良い負の相関がみられた。逆に、pCO2と小型の植物プランクトン群集の間には、正の相関がみられた。pCO2と気候変動指標との相関は、MEIにおいて相関係数が南半球において最大で0.47ほど得られる程度であった。この結果を理解するためのモデルを利用した解析に先立ち、栄養塩取り込み過程を忠実に再現および最適にパラメタリゼーションされたモデルを用いて過去再現実験を行ない、モデルと衛星観測で得られる生態系構造を比較した結果、両者は全球規模では概ね似た傾向を示した。そこで、モデルで得られたpCO2とPFTsの関係を調べたところ、衛星データ解析と同様な結果が得られるのが確認できた。このモデルによれば、小型の植物プランクトンが優先するところでは、pCO2に対して植物プランクトン以外の原因による生物地球科学的あるいは物理的影響が大きいことが示唆された。
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