2010 Fiscal Year Annual Research Report
大規模量子伝導シミュレーション法の開発とナノカーボン・有機薄膜系への応用
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22810003
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石井 宏幸 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教 (00585127)
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Keywords | 計算物理 / 量子伝導 / ナノカーボン / 有機薄膜 / 波束 / 時間依存 |
Research Abstract |
本研究の目的は、独自に開発した伝導計算理論(時間依存波束拡散法)を基礎として、原子の尺度から伝導物性を弾道伝導領域から拡散伝導領域、さらにホッピング伝導領域などを統一的に解析できる手法を確立することである。 本年度は、カーボンナノチューブの弾道から拡散伝導領域に至る電気伝導の温度依存性、半径依存性などを明らかにし、実験結果と定量的にも良く一致することを確認した。さらにこの計算手法を2次元系へ拡張した。そしてグラフェン系において、1次元グラフェンナノリボンから2次元グラフェンシートへ試料の次元が移り変わっていく際の支配的な散乱機構の変遷を明らかにした。得られた知見は、以下である。1.ナノリボンには、端(エッジ)に局在した振幅をもつエッジフォノンが音響フォノンモードに現れる。この低エネルギーのエッジフォノンモードは散乱に寄与することが予想されたが、計算の結果、ほとんど散乱に寄与しないことが分かった。2.幅20nm以下のグラフェンナノリボンでは、エッジラフネスによる散乱が支配的となる。その一方、幅20nm程度のナノリボンでは、エッジラフネスとバルクフォノンによる散乱が同程度に寄与する。そして、2次元グラフェンシートは、エッジラフネスの影響は、無視できるほど小さくなり、フォノン散乱が支配的となる。 また、有機薄膜の伝導物性を理解するために必要なホール伝導度の計算方法も、時間依存波束拡散法によるアプローチでの定式化に初めて成功した。さらに、本手法にポーラロン効果の取り込みも行い、来年度の有機薄膜の伝導機構解明のための基礎が確立された。
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