2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22810009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安楽 泰孝 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任研究員 (60581585)
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Keywords | DDS / 架橋率 / 弾性率 / 血中滞流性 / 腫瘍集積性 |
Research Abstract |
前年度までに架橋Nano-PICsomeの架橋率(弾性率)を添加する架橋剤の量でコントロールでき、さらに架橋率の算出法等の基礎的物性を明らかにしたので、本年度はこれらの粒子を用い、血中循環性を含む体内動態の評価を担がんマウス(C-26,マウス大腸がん)を用いて重点的に行なった。これまでに申請者らがサイズの異なる架橋Nano-PICsome(10等量架橋、100-300nmの体内動態について既に報告しているが(JACS,2011)、10等量架橋の粒子でEPR効果による腫瘍集積性は150nm以下の粒子でのみ観察された。今回、サイズ(100,200nm)、架橋率(0.5,1,3,5,10等量)ともに変えて検討を行なった。まずいずれのサイズにおいても3等量以上架橋した架橋Nano-PICsomeにおいて高い血中循環性を示した。当初の申請者は、赤血球のようにある弾性率において著しく高い滞留性を示す事を予想したがもそれに反し、架橋率が高い程(弾性率が高い程)、高い血中循環性を示す事が明らかになった。これは血中での安定性においては、弾性率よりも粒子の安定性の方が重要なファクターであることを示唆していると考えられる。一方、EPR効果による腫瘍への集積性は、弾性率を上手くコントロール(血中滞留性はあり、低い架橋率・弾性率において)することで、従来集積しなかった200nmの粒子が集積する事が明らかになった。これはおそらく粒子の弾性率が下がり、変形能が増した事による為だと考えられる。こういったサブミクロンサイズの粒子がEPR効果による腫瘍集積性を示した方向例は過去になく、大変興味深い結果だと言える。
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