2010 Fiscal Year Annual Research Report
バロー峡谷を介した北極海への海洋熱フラックスの推定
Project/Area Number |
22810010
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
溝端 浩平 東京海洋大学, 海洋科学部, 助教 (80586058)
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Keywords | 北極海 / 海洋熱フラックス / 海氷 / 衛星リモートセンシング |
Research Abstract |
北極海における海氷減少の主要因は、海洋の温暖化にその要因がある。バロー峡谷を介した太平洋起源の海洋熱の変化は、海氷激減域における海洋貯熱量を大きく左右する。本研究では、継続的な現場観測が確約されていないバロー峡谷において、北極海への海洋熱フラックスを現状で利用可能なデータから推定する。2010年度はまず北極海へ向かう順圧・傾圧流量成分を推定する方法を確立した。バロー峡谷における順圧流速は、南岸のPt.Hope~Pt.Lay付近の風速(60°方向)と最も相関が高く、同岸で発生する沿岸ケルビン波の流速変動への影響が示された。NCEP風速成分と現場での順圧流量との回帰から、無風状態で約0.78Svの北極海への流入があり、ベーリング海峡からの流量のほぼ全てがバロー峡谷へと到達していることがわかった。またバロー峡谷における全流量は、流軸における流速データのみで推定可能なことも明らかになった。また流速の傾圧成分に対する主成分分析から、EOF第一モードは典型的な傾圧第一モード様の構造を示した(約70%の寄与率)。順圧成分と同様に傾圧成分のEOF第一モードはNCEP風速成分との間に正の相関を示した。これらの結果から、バロー峡谷における北極海への熱フラックス推定に必要な流量成分を風速成分で推定する方法を確立することができた。鉛直方向の流速構造の理解は、海洋熱フラックス推定に必要なもう一つのパラメータである水温鉛直プロファイル推定に利用する。これらの結果を用いて、バロー峡谷における北極海への順圧成分、傾圧成分それぞれによる海洋熱フラックスの推定を行う。
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Research Products
(1 results)