Research Abstract |
1生物融合型MEMSデバイスには,ツリガネムシ柄を駆動源とするフローレギュレータ作製を目標にした.Ca^<2+>で収縮・伸長する柄により,圧力損失を発生させ,流量を制御する.本デバイス構築のため,ツリガネムシを格納するPDMS(Polydimethylsiloxane)製の微小流体デバイスを作製した.流体デバイスは,溶液流路と制御用流路の2層構造であり,溶液流路の流れのON/OFFは,外部空圧で制御できる.溶液流路中には幅50μmのボトルネック領域を18個直列で設けて,各ボトルネックで発生する圧力損失を加算させる.ボトルネック部には,容積300μm×100μm×28μm=0.84nLのチャンバーが接続し,ツリガネムシを格納する.溶液流路の型にはポジ型厚膜レジストAZP4903を用いて,流路高さを28μmとした.作製した溶液流路内に,ツリガネムシを注入すると,チャンバー中にツリガネムシの接着と柄の伸長が見られた. 2デバイスを安定的に作製し,操作するために,以下4点の基礎検討を行った.(1)母型のポジ厚膜レジストは,昇降温時にひび割れが生じやすく,繰り返し使用性が低かった.そこで母型をひび割れがしにくいエポキシ樹脂のデブコンETに転写し,繰り返しPDMS流路の作製を可能にした.(2)流路制御用の電磁弁,圧力センサ,圧力調節器をパネル上に取り付け,操作性を高めた.(3)溶液を内径0.5mmのシリコンチューブ内に貯めた場合,連続利用できる溶液量は数十μLであった.これに容量1.5mLのネジ式遠沈管を経由させて,1mLの溶液の連続利用を可能にした.(4)PDMSの触媒量を変更し,PDMS層間を接着する方法は,2度の計量と時間調節が手間となる.硬化させたPDMSに対し,コロナ放電処理装置BD-20ACの処理後,すぐにPDMS層間を接着して,これらの手間を省いた.
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