2010 Fiscal Year Annual Research Report
チベット文化圏における放牧地利用の疎密に応じた資源管理制度の創出
Project/Area Number |
22810013
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山口 哲由 京都大学, 東南アジア研究所, 研究員 (50447934)
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Keywords | 牧畜 / 放牧地利用 / 資源管理 / 社会変化 / 中国 |
Research Abstract |
牧畜地域では,立地によって利用状況が差異がみられ,そのことが家畜の偏在を引き起こしている場合がみられる。本研究では,そういった放牧地利用の疎密が生じる状況を検証するとともに,そういった偏った放牧地利用を解消する方法を提言することを目的としている。 本年度は8月と2月にインド北西部ジャンムーカシミール州ラダックに位置するドムカル村において,のべ2ヶ月間の現地調査をおこなった。当該村落ではすでに2年間の調査を継続しておこなっており,全世帯(およそ190世帯)の家族構成や経済状況,農業や牧畜の概要を把握している。今年度の調査では,それらの基礎的な情報に基づいて世帯を訪問調査し,それぞれの世帯が所有する農耕地の所在や放牧地の位置を衛星画像上で確認した。また,それらの土地所有状況とともに,それらの実際の利用状況,すなわち近年に休閑している農耕地やほとんど利用しなくなった放牧地などに関する情報も収集した。 その結果としては,村落でもより標高が高い土地では農耕地や放牧地が希薄になる傾向がみられる一方で,標高が低い土地は果樹栽培などのために需要が高く,世帯間での争いの原因となっている事例が確認された。このように村落内の土地に関しては,明らかな利用の疎密が生じており,その原因としては世帯労働力の不足,農産物価格の下落などが影響していると考えられた。以上の考察に関しては10月の地理学会において発表するとともに,現在,投稿論文を執筆中である。
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Research Products
(2 results)