2011 Fiscal Year Annual Research Report
生体高分子アミロイド線維形成反応機構の可視化による分子機構の解明
Project/Area Number |
22810014
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
八木 寿梓 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教 (10432494)
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Keywords | 全反射蛍光顕微鏡 / アミロイド線維 / アルコール / HFIP / リアルタイム観察 / ヒトIselet amyloid polypeptide |
Research Abstract |
今年度は、主に研究実施計画に記述した、「線維伸長末端で生じる反応の可視化」をアルコール存在下におけるアミロイド線維形成について詳細に調べた。当研究室で独自に組み立てた全反射蛍光顕微鏡(TIRFM)と、モデルペプチドとして、II型糖尿病の発症に関係するとされているIslet amyloid polypep tide (IAPP)を用いた。TIRFMによるアミロイド線維伸長リアルタイム観察は、アミロイド線維形成機構およびアミロイド線維の特性を可視化することが可能である。アミロイド線維形成反応を直接観察することは、まだ明らかされていない線維形成分子機構の手掛かりや、現在提唱されている分子機構の直接的な証明となる。また、II型糖尿病の発症機構に関する知見を得て、将来的に新たな治療方法の開発に貢献することも期待できる。 IAPPは疎水性に富んだアミノ酸からなり、非常に凝集性が高い。初年度に行った「線維形成機構と無定形な凝集の形成機構の区別」で得られたIAPPがアミロイド線維を形成する最適な条件を用いて研究を行った。具体的には、すでに形成した未修飾のアミロイド線維に対して、蛍光色素Alexa532で修飾したIAPP(Alexa532-IAPP)のモノマーを添加した。加えたAlexa532-IAPPモノマーがすでに形成したアミロイド線維に対して、どのような相互作用をするかをリアルタイムで観察した。その結果、Alexa532-IAPPはアミロイド線維末端のみだけでなく、線維側面にも結合して新たな線維を形成している模様が観察された。この結果は、これまで線維の末端にモノマー分子が反応することより線維伸長が生じると考えられてきたことが、線維の側面にも着目して線維の形成機構を考えなければならないという新たな知見を得ることに成功した。現在さらに詳細な知見を得るために、対物型のTIRFMの観察システムを構築中であり、その観察から得られた結果をふまえて投稿論文としてまとめる予定である。
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