2010 Fiscal Year Annual Research Report
嫌気性消化における無機物溶解析出の熱力学的理論構築
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22810016
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| Research Institution | The University of Kitakyushu |
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Principal Investigator |
中 大輔 北九州市立大学, 国際環境工学部, 研究員 (40585600)
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| Keywords | 嫌気性消化 / 無機物 / 析出 / 熱力学 / モデル |
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| Research Abstract |
研究実施計画に示した通り、H22年度は嫌気性消化槽における無機物溶解析出挙動の理論構築を徹底的に行った。基質となる下水処理場汚泥の組成(含水率,金属元素含有量)や運転方法(汚泥滞留時間,発酵温度)の異なる嫌気性消化槽のデータを用いて得られた予測モデルは、嫌気性消化に関するプロセスシミュレーションに広く応用可能である。以下に骨子となる2つの考え方を示す。
1. 「固液平衡と析出固体種」:化学反応速度論の観点では、固体種-液中イオン種間の化学平衡到達時間は数分から数日のタイムスケールで進行する。嫌気性消化槽内の汚泥滞留時間が10日以上であることから、この固液平衡は達成されていると仮定し、平衡状態の液中イオン種濃度を説明可能な析出固体種を決定した。(例:Mg(NH4)PO4-6H2O,CaHPO4,Fe3(PO4)2)
2. 「固体から固体への化学反応」:比較的迅速な固液平衡に対し、ある固体種が別の固体種への化学反応のスピードはかなり遅く、タイムスケールは数日から数十年に及ぶ。よって化学反応固体種の決定と同時に化学反応速度をパラメーターとして設定し、発酵温度や汚泥滞留時間と関連付けた。
本モデルの性能確認・微調整をH23年度実施予定の現場実験などを以って行い、信頼性・再現性が得られれば、嫌気性消化プロセスのシミュレーションモデルとして、下水処理場などで嫌気性消化槽運転の最適化に貢献するのみならず、金属元素やリン成分の資源回収プロセスとしての応用も期待される。
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