2010 Fiscal Year Annual Research Report
東アフリカ諸国間の交易ネットワークの形成と展開に関する研究
Project/Area Number |
22810023
|
Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
小川 さやか 国立民族学博物館, 研究戦略センター, 機関研究員 (40582656)
|
Keywords | 地域研究 / アフリカ / 交易ネットワーク / 関税同盟 / 衣料品 |
Research Abstract |
本研究の目的は、衣料品流通を事例として、東アフリカ関税同盟結成後の東アフリカ諸国間の交易ネットワークの形成と展開を検討することを通じて、アフリカを舞台に生じている重層的なグローカリゼーションの実態を解明することにある。 日本において東アフリカ各国の関税政策や貿易政策を整理した後、タンザニアに渡航し、地方拠点都市ムワンザ市を起点に、タンザニア商人による隣国ケニアとウガンダからの仕入れ行為を参与観察した。その結果、1)零細商人の商業ネットワークにおいては、国内の首座都市との関係よりも距離的な近接性をもつ隣国の主要都市との関係のほうが重要であること、2)各国の経済的、文化的、慣習的な衣料品の需要の違いを活かした、商人による各国の市場の循環的な移動があること、3)この循環的移動は、結果として国内市場における古着の価格を引き下げることを通じて、古着の流通システムを活性化していることが明らかになった。この循環的な移動は、零細商人たちが直接的にグローバル経済に連結しながら、政府が推進している東アフリカ共同体という大きなローカルに対して独自の経済文化圏を作り上げていく動きであるといえる。これらの成果については、現在投稿論文を準備中である。また成果の一部は、2011年6月に開かれる日本文化人類学会、および9月にスイスで開かれる国際シンポジウム「African Border Town」で発表することが決定している。 また2月には、科学研究費補助金成果公開促進費を受けて、アフリカ零細商人の商慣行と共同性を「狡知」に着目して明らかにした学術図書『都市を生きぬくための狡知』を出版した。
|
Research Products
(4 results)