2010 Fiscal Year Annual Research Report
希土類抽出剤プレドープ型樹脂を用いるクロマトグラフィーの構築と分離分子過程の解析
Project/Area Number |
22810027
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
田崎 友衣子 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 研究員 (20586599)
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Keywords | 希土類元素 / 分離 / 抽出剤内包樹脂 / pc-88A / 吸着 / 抽出剤プレドープ型樹脂 / 分離分離過程 / クロマトグラフィー |
Research Abstract |
希土類元素は幅広く利用されている一方で、希少性と偏在性に起因する価格高騰と供給不安に直面している。そのため、希土類元素のリサイクル技術、とりわけ分離・回収技術の開発が重要な課題である。 本研究では、抽出剤固定化樹脂のなかでも、重合過程で抽出剤を混合しておく手法により調製した"抽出剤プレドープ型樹脂"に着目した。当該手法を用いた、希土類金属イオンの吸着挙動に関する知見は少なく、発展の余地があると考える。本研究は、(1)希土類金属元素に有効な抽出剤を用いたプレドープ型樹脂の合成、(2)抽出剤プレドープ型樹脂への希土類金属イオン吸着挙動の解析、(3)分離過程に関する基礎的知見に基づく、希土類金属イオンの分離・回収に有効な分離系の構築、を目的とする。 22年度は、希土類元素の分離に有効な抽出剤であるPC-88Aを内包したポリスチレンおよびポリメタクリル酸メチルを合成して、PC-88Aの溶出量と金属イオン吸着量を調べた。ポリスチレンとポリメタクリル酸では、後者の方が金属イオンの吸着量が多くなる。これは、ポリメタクリル酸の方がPC-88Aに構造が類似しているためと考えられる。しかし、同時にPC-88Aの溶出量も多い。これらの結果は、含浸樹脂を用いた場合と大差がないということが明らかになった。このことから、調製したプレドープ型樹脂の物理的・化学的性質は含浸樹脂とほとんど同じであると予測される。金属イオンの吸着剤として用いることを考えると、最大の問題点は抽出剤の溶出に起因する樹脂の低耐久性である。そこで、抽出剤の溶出を抑えるために、抽出剤プレドープ樹脂の外側を、抽出剤を含まない樹脂で覆う手法を考案した。これにより、樹脂内部から外部への拡散を物理的に抑制することができると期待できる。
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