2011 Fiscal Year Annual Research Report
現代アメリカ合衆国におけるアファーマティブ・アクション理論分析
Project/Area Number |
22820004
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
吉岡 宏祐 徳島大学, 大学院・ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部, 講師 (30583306)
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Keywords | アファーマティブ・アクション / 住民発案 / 「優遇措置」 |
Research Abstract |
本年度の研究では、アファーマティブ・アクション(AffirmativeAction:以下A.A.と略記)廃止の住民発案が提起された複数の州を対象とした上で、発案が推進されたプロセスに関して分析を行った。その結果明らかになったのは、各州の住民発案には戦術上の共通性が見られるということであった。その共通性とは、各州の発案が公民権法の理念や文言を援用して起草されていた点、A.A.支持派からも発案への支持を取り付けるため、発案中の語彙を「AA」の廃止から「優遇措置」の廃止へと戦略的に転換した点、ならびに黒人保守主義者を運動の先頭に据えた点であった。 当初、このような発案推進派による戦術に対して、共和党は集票マシーンとしてこれらの発案を利用しようとした。しかしながら、発案への同調が党にとって選挙対策上、不利に働くことが分かると、共和党指導者らは発案に対する支援を自粛し始めた。果たして、発案推進派は、既存政治からの脱却を唱え、ポピュリスト的性格を強めていった。一方で、A.A.擁護派は、州を経るごとにその支持基盤を拡大し、発案推進派が用いた戦術に抗おうとした。具体的にそれは、「優遇措置」という曖昧模糊とした文言に対する注意の喚起や、さらには文言それ自体の修正という形をとり、実際に、いくつかの州においては、発案の否決という形でそれは実を結んだのであった。 以上のように、本年度に実施した研究によって、各州の発案に見られた共通性、発案の擁護派と反対派に関する勢力図の変潭過程、ならびに発案否決の要因について明らかにすることができた。
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Research Products
(2 results)