2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22820016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鵜飼 敦子 東京大学, 東洋文化研究所, 特任研究員 (30584924)
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Keywords | 芸術 / 異文化交渉史 / 近代 / ユーラシア / ジャポニスム / 高島北海 / フランス / 世紀末芸術 |
Research Abstract |
19世紀末の美術史の動きのなかで「日本的なるもの」日本でどのようにつくりあげられ諸外国に受容されたのかを解明するということが本研究の目的である。各調査の項目に関して、調査から公表までの一連のタームをできるかぎり短くすることで、2ヵ年で効果的に資料収集、調査、考察をし、公表するという研究計画を立てた。初年度の調査では、とりわけ明治期の日本画家、高島北海のフランスにおける足跡について大きな成果をあげることができた。9月にフランスのナンシー美術館とロレーヌ歴史博物館で調査をおこない、北海の作品を確認した。さらに、当時のナンシー派芸術家のアトリエ写真などから、北海がナンシーで芸術家として受け入れられ、同時に多くの即興画を残していたことを明らかにすることができた。このうち、新たに発見した作品については、新聞で報道がなされた。ロレーヌ歴史博物館での調査結果については、12月におこなわれた日仏美術学会で日本の和紙や意匠がどのように装幀芸術にとりこまれたのかを発表した。また、ナンシー美術館における日本美術のコレクション調査については、高島北海がフランスに残した作品について2月に下関市立美術館で講演し、その内容が地元のメディアで紹介された。これらの口頭発表の後、北海と異文化交渉史について、日本における北海の評価についてそれぞれ論文をまとめ発行された。また、北海作品の調査については、英文での要旨が美術展カタログに掲載されたことから、研究の成果を活動報告として一般に広く公開することができたといえる。
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Research Products
(8 results)