2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22820034
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
志田 泰盛 京都大学, 次世代研究者育成センター, 助教 (60587591)
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Keywords | 聖典解釈学派 / 音声の永遠性 / プラバーカラ派 / プラカラナパンチカー / リジュヴィマラー |
Research Abstract |
古典インドの正統バラモン系を代表する聖典解釈学派は、バラモン教の聖典ヴェーダの権威を教義の中心に据え、ヴェーダの権威論証との関連から、音声の永遠性という特有の教義を形成した。本研究が主眼としたのは、聖典解釈学派の一派プラバーカラ派による<音声の永遠性論証>の文献実証的解明である。2年間という期間の中で、以下の3点すなわち(a)テキストと写本の電子化(b)写本の校合及び翻訳・訳注の作成(c)新写本の調査、を目標とした。結論としては3点ともおおむね順調に進展した。 昨年度(2011年2月)にインド・ケーララ州の写本図書館の調査において撮影した『プラカラナ・パンチカー』のマラヤラム文字写本など蒐集済の原典写本の中から3本を選び、特に同文献の中で音声の永遠性論証を主題とする第9章について、既刊本と合わせて校合し、同時に内容分析を進めた。その成果の一部は、2011年7月の西日本インド学仏教学会において発表し、また『多田孝文先生古稀記念論文集』に投稿した(近日刊行予定)。 また、新写本の調査のために、2012年1月の国際サンスクリット学会の直後に、インド・ラージャスタン州およびグジャラート州の写本図書館を調査した際、当該のプラバーカラ派の原典写本は発見されなかったが、関連の深い仏教・サーンキヤ学派の写本の写真を入手することができた。 『プラカラナ・パンチカー』9章の訳注プロジェクトについては、今回は校合に使用しなかった他のマラヤラム文字写本や読解が難しいテルグ文字写本の校合、さらには聖典解釈学派のもう一つの学派、バッタ派の教義との細かな差異の検討が今後の課題として残された。
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