2010 Fiscal Year Annual Research Report
日本帝国崩壊後の樺太植民地社会の変容解体過程の研究
Project/Area Number |
22820035
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中山 大将 京都大学, 文学研究科, 研究員 (00582834)
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Keywords | 樺太 / サハリン / 植民地 / 日本帝国 / ソ連 / 朝鮮人 / 人口移動 / 社会史 |
Research Abstract |
本研究は、「植民地体制によって形成された、アイデンティティ、社会関係、共同体、生産体系などを「植民地社会」と呼び、帝国崩壊後の「樺太植民地社会」の変容解体過程を以下の点から、分析し明らかにする」ことを目的とし、下記の4つの課題を掲げ、下記の通り研究を行った。 A. 樺太引揚者の内地化過程の分析[帝国の折り返し] (i)戦後樺太アイデンティティの顕在化、(ii)引揚者の不可視化 北海道および東京で樺太引揚者団体および引揚者から聞き取り調査を行ったほか、各種資料提供を受けた。現在、引揚者団体の中心であったり、聞き取りが可能なのは、引揚時に10代で、引揚後に内地で成人となり社会に出た人々がほとんどである。これらの人々がどのように戦後、樺太と「出会い」「語る」ようになったのかを検証するためのデータを収集した。 B. 南サハリン地域のソ連化過程の分析[帝国の重なり合い] (i)技術・資本の再編成、(ii)韓人エスニシティの再編成 北海道にて、戦後サハリンを生きた残留日本人帰国者から、戦後サハリンにおける朝鮮人コルホーズ建設に関する聞き取り調査を行った。また引揚者からは、引揚までの間に、日本人とソ連人がどのように街や職場で「共住」していたかの状況に関しての聞き取り調査を行った。 東京にて、ソ連崩壊以降のサハリン残留日本人帰国事業の支援団体から聞き取り調査を行ったほか、党団体所有の残留日本人に関する資料整理の協力を共同で行うことになった。これらの資料を基に、来年度は残留日本人・韓人の戦後サハリン社会における役割の検証を行う。
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