2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22820054
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
秋吉 亮太 慶應義塾大学, 文学研究科, 助教 (20587852)
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Keywords | 哲学 / 数学基礎論 |
Research Abstract |
平成23年度は、これまでに得てきた数学的成果を哲学的に反省することを主たる目的とし、研究を進めてきた。特に、これまで証明論において得られてきた数学的成果がどのような哲学的、ないしは概念的な解明をもたらしうるか、を解明すべく研究を行った。集合論の専門家および科学哲学の研究者と共に、これからの数理論理学の未来について議論を行うワークショップにて招待講演を行った(「科学基礎論学会2011年度総会と講演会」、愛媛大学)。そこでは、非可述性の分析として証明論をとらえ、これまで用いられてきた証明論的順序数にまつわる困難を指摘した。特に、ゲーデルの1938年の講演を取り上げ、そこでの議論を応用した。そして、以上のような問題点の上に申請者自身の数学的成果がどのような背景の元に位置づけられ、どのような哲学的・概念的意味を持ちうるか、を論じることで、これからの数学の哲学における課題を提示した。この成果は論文として、『科学基礎論研究』に掲載されることが決まり、出版された。 上記の研究と並行して、前年度に論文にまとめた、ゲンツェンの1936年の無矛盾性証明の再構成について、さらに研究を進めた。特に、慶應義塾大学文学研究科博士課程高橋優太と共に、ゲンツェンの証明が現代的証明論の手法で再構成できることを細かく計算することで確かめ、さらに、ゲンツェンの歴史的な原論文との詳しい対照を与えた。このことにより、申請者による前年度の成果に対して歴史的な裏付けを与えた。また、その結果として、これまで異なる証明と考えられてきた未出版の証明、1936年の証明、1938年の証明が「超限的な命題に有限的な意味を与える」という一貫したテーマの元に理解できる、という趣旨の共著論文を高橋氏と書き、投稿への準備を進めた。
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