2011 Fiscal Year Annual Research Report
複文化環境における弱者・少数者に対するディスコースの分析
Project/Area Number |
22820055
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 雅子 慶應義塾大学, 外国語教育研究センター, 助教 (10588560)
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Keywords | ディスコース / 弱者 / 少数者 / 複文化 / 言語教育 / 差別 / コミュニケーション / ディベート |
Research Abstract |
1)第三段階:リストアップ 収集した発話の中から、背景が多様な聴衆の前で発信された弱者・少数者に対する特徴的なディスコースのリストアップを開始した。3名のディスコース研究の専門家に応募者が作成したリストの確認を依頼した。 2)第四段階:ディスコースの分類・整理 アムステルダム大学教授van Eemeren氏の指導の下、リストアップされた発話をPragma Dialecticsの立場から分析した。途中までFallacyの分類形式を踏襲する方法を検討したが、Insensitive Speechesの定義上Fallacyとは異なる点も多いということで、新たな分類方法を開発することとした。現在、作成したカテゴリーに分類する精度の確認のため、協力者を得て分類実験を行っている。対象とされている弱者・少数者集団を基にした分類では、ジェンダーや居住地、健康問題や年齢といった人種や国籍以外を対象とした発言が多かった。但し、母語に絡めた国籍ついての発言には大変悪質なものも見られた。 3)第五段階:社会調査 典型例となる表現を被験者に提示し、問題を認識するかどうか、する場合にはどの程度深刻な問題と捉えるか、官能評価実験を行った。23名の被験者の内、半数以上が問題を認識する割合が3割未満となった。また、認識率100%の被験者は0人であった。想定していたよりもジェンダーや居住地については敏感であることが分かったが、健康問題や年齢、宗教については鈍感であると思われた。 4)第六段階:比較分析と教育への提言 第四段階で問題が頻発していると思われた分類と、第五段階で被験者が問題と認識した分類にずれがあるかどうかを検証した結果、健康問題や年齢について教材に取り上げる必要があると思われた他、宗教や民族についてはそれ以前の背景知識の学習が必要であることが分かった。
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Research Products
(5 results)