2011 Fiscal Year Annual Research Report
古代カンボジアにおける交易ネットワークの発達と統治システムに関する研究
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22820057
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
松浦 史明 上智大学, 大学院・グローパル・スタディーズ研究科, 特別研究員 (00584707)
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Keywords | 東南アジア史 / カンボジア / 交易史 / 政治経済史 / 碑刻学 |
Research Abstract |
本研究は、9~14世紀の東南アジア大陸部に栄えたアンコール王朝の交易ネットワークのあり方を、思想的・制度的背景も含めて検討してきた。 本年度においては、昨年度から準備していた三次元デジタイザー(VIVID910)を用いたアンコール碑文の三次元計測を、カンボジア、シアムリアプに所在するアンコール保存事務所と共同で行なった。夏季休暇期間中、1週間にわたり三次元計測を行ない、碑文10点程の三次元データを取得することに成功した。これにより、これまで判読が困難であった記述を読み取ることが可能となり、カンボジア史に新たな知見がもたらされることが期待される。今後も関係機関と協力しつつ作業を進める予定である。さらに、アンコール王朝の版図における交易ネットワークを探るため、カンボジアとタイにおいて広域調査を行った。特にアンコールから放射状に伸びる陸路である「王道」の踏査をすすめ、現地研究者の協力を得ながら、これまで不明であった陸上交通に関する多くの新知見を得た。アンコールを東南アジア交易史の中に位置づけるという当該研究を完遂するための基礎作りは達成されたと考えている。 本年度は最終年度にあたるため、(1)交易からみたアンコール王朝の「領域」、(2)交易ルートについて、(3)交易従事者、(4)交易品と産物、(5)交易と王権・宗教の関係などについて、本研究の総まとめをする作業を中心に行った。翌年度以降、論文や口頭発表の形で世に問うていく予定である。
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