2010 Fiscal Year Annual Research Report
帝国日本における出版市場の再編と合法・非合法商品の資本化に関する研究
Project/Area Number |
22820061
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
高 榮蘭 日本大学, 文理学部, 准教授 (30579107)
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Keywords | 日本近代文学 / 検閲 / 出版 / 社会主義 / アナーキズム / 資本主義 / 植民地 / 占領 |
Research Abstract |
日本帝国において資本主義的システムが形成されつつあった1920年代~1930年代に焦点を当て、「社会主義」をめぐる合法・非合法的商品が、植民地での市場拡大を試みながらどのように競争していたのかについて注目した。研究初年度である2010年は、以下の三つの点に中点を置いて研究を進めた。 (1)新しい研究をスタートさせるための研究資料の構築(資料の調査・分析を含む)。韓国のソウル大学、国立国会図書館、成均館大学図書館やアメリカのシカゴ大学図書館で調査をした。(2)韓国・アメリカにおける日本語・朝鮮語書物の流通・検閲をめぐる共同研究との連携。韓国の検閲研究グループとの共同研究を発足させた。2011年7月に第1回目の会議を開く予定である。シカゴ大学のRethinking Hihyoをめぐるワークショップに参加し、日本帝国とGHQによる支配システムの差異と、書物の資本化の問題を接続させる回路を見出すことが出来た。(3)国際ワークショップを企画・開催し、複数の言語による領域横断的な成果の公表を試みた。2011年2月27日には、韓国から研究者を招聘し、「行為体・媒介・移動」をめぐるワークショップを行った。また、カナダMcGill大学のAdrienne Carey Hurley教授による『Documentary History of Anarchism in Japan』出版計画にも参加している。日本、韓国、アメリカにおける社会主義、アナーキズム、検閲、書物の資本化の問題を、異なる言語・異なる専門分野・異なる地域で活動する研究者とのネットワークを構築することによって、より複合的な側面から捉える基盤が形成されつつある。その意味にといて、2011年度に計画している、研究成果の発表につながる活動が出来たと思っている。
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