2010 Fiscal Year Annual Research Report
中国南北朝期の仏教美術にみる護法神信仰とその造形に関する基礎的研究
Project/Area Number |
22820069
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大島 幸代 早稲田大学, 會津八一記念博物館, 助手 (60585694)
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Keywords | 護法神 / 金剛力士 / 天王 / 末法 / 法滅 / 南北朝時代 |
Research Abstract |
本研究は、中国仏教美術にみられる護法神像について、特に力士像と天王像に関する造形作品や、金剛力士や天王信仰の関係資史料を収集整理することを目的とした基礎的研究である。6~7世紀の南北朝末期から隋唐時代初期に中国で特徴的な、「護法神像の多様性」という現象が生じた時期や経緯、またその意義を造形上の問題から検討することを最終目的とする研究の第一段階にあたる。 平成22年度には、まずは北朝期の護法神像の実態を明らかにするために、歴代王朝の中央に位置づけられる山西・河南地域の造形作品について,現地調査による基礎情報の集得と、それら獲得情報の整理・分析を進めた。それと共に、『高僧伝』『続高僧伝』等の僧伝史料、仏教霊験説話等を集録した『集神州三宝感通録』『法苑珠林』等を対象に、護法神に関する説話記事、特に護法神と高僧の関わる説話・伝記の収集・分析を行い、豊富な護法神の図像を生み出す契機となった歴史的背景について吟味した。本年度は、中でも漢訳経典に「護塔神」と称される仏塔の守護神について、その源流をインドに探り、中国においてはおおむね金剛力士がそれに相当する神として認識されこと、護塔神が法滅、あるいは末法思想との関係の中で重視されるに至った経緯を考察した。 北朝期の護法神の造像実態を体系的・総体的に理解するには未だ作品情報が不足しており、継続的な現地調査を要するが、力士像・天王像・神王像・神将像などと呼びならわされる護法神像が、その種類の幅を一挙に広げたのは東魏・北斉の時期・地域であると目され、護法神像を重視する方向に進んだ世相と地域性・時代性との結びつきについて考察を進める指針を得た。
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Research Products
(2 results)