2011 Fiscal Year Annual Research Report
中国南北朝期の仏教美術にみる護法神信仰とその造形に関する基礎的研究
Project/Area Number |
22820069
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
大島 幸代 早稲田大学, 曾津八一記念博物館, 助手 (60585694)
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Keywords | 護法神 / 金剛力士 / 天王 / 末法 / 法滅 / 南北朝時代 / 石窟摩崖 |
Research Abstract |
本研究は、中国仏教美術にみられる護法神像について、特に金剛力士像と天王像に関する造形作品や、天王や力士信仰の関係資史料を収集整理することを目的とした基礎的研究である。中国では6~7世紀の南北朝時代後期から隋唐時代初期という短期間に、「護法神像の多様化から画一化」という現象が起こったが、その具体的時期や経緯、また意義を造形上の問題から検討することを最終目的とした総括的研究の第一段階にあたる。 平成23年度には、北朝後期から隋唐初期にいたる護法神像、あるいは護法神信仰の実態を明らかにするために、河南・山東地域の造形作品について、現地調査による基礎情報の集得と、それら獲得情報の整理・分析を主に進めた。この調査地の選定は、平成22年度に行った山西・河南地域における実地調査の成果を踏まえたもので、造形作品にあらわされる護法神像がその種類の幅を一挙に広げたと推測される東魏・北斉の時期・地域に焦点をしぼり、当該時代・地域の護法神像を重点的に調査した。北朝期の護法神の造像実態を体系的・総体的に捉えるには未だ作品情報が不足しており、継続的な現地調査を要するが、問題解明にあたって有効な材料となり得る作品を多数見出すことができた。 また、豊富な護法神の図像を生み出し、その後に、多様性から画一化へと向かう流れの契機となった歴史的背景について、北周武帝が大規模に行った破仏の影響に焦点をしぼり検討を進めた。破仏からの復興期にあたる隋文帝の治世には、仏教再興をモニュメンタルに表象する仁寿舎利塔事業が実施された。この事業実現までの経緯において、文帝を中心とする政権や当時の仏教界が具体的に危機意識や再生へのイメージをどのように共有したか、その様相の考察を行い、「隋仁寿舎利塔研究序説」に論じた。
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Research Products
(1 results)