2011 Fiscal Year Annual Research Report
太閤記物戯曲群が人形浄瑠璃史において果たした役割と他の近世文芸への影響
Project/Area Number |
22820070
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
原田 真澄 早稲田大学, 演劇博物館, 助手 (40580444)
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Keywords | 文楽 / 人形浄瑠璃 / 人形劇 / 太閤記物 / 近世文学 / 古典芸能 / 演劇 / 義太夫節 |
Research Abstract |
平成23年度は、研究計画に記載した「主要作品の上演年表」のうち、太閤記物戯曲の金字塔といわれる「絵本太功記」の上演年表を作成し、作品研究を行った。その成果の一部を研究発表「太閤記物人形浄瑠璃作品に表われた謀叛-「絵本太功記」を中心に」(2011年度日本演劇学会・秋の研究集会、2011年12月)で発表した。また、他ジャンルとの比較作品研究では、人形浄瑠璃の主要作者の一人である並木千柳(宗輔)の手がけた太閤記物作品「傾城枕軍談」を取り上げ、類似した登場人物が登場する浮世草子などとのジャンル横断的な作品研究を行った。そしてその考察の結果を査読付論文「「傾城枕軍談」試論-七草四郎と嶋勘左衛門の人物造形をめぐって-」にまとめた。この他にも、近現代の人形浄瑠璃研究に重要な示唆を与える新出資料の資料紹介「鴻池幸武宛て豊竹古靱太夫書簡二十三通-鴻池幸武武智鉄二関係資料から-」(早稲田大学演劇博物館紀要『演劇研究』第三十五巻、2012年3月)にも関わり、人形浄瑠璃研究の基礎資料の整備に努めた。また、太閤記物についてのこれまでの研究成果を元に、独立行政法人日本芸術文化振興会が公開しているwebの作品解説「文化デジタルライブラリー舞台芸術教材・文楽編 作品解説「絵本太功記」(川口節子執筆・監修、原田真澄執筆、2012年3月公開)の制作に携わった。研究の社会還元にも大いに寄与しているといえよう。 未だ十分に検討されてきていない太閤記物の主要作品も存在するため、今後も主要作品の上演史研究および他ジャンルの文芸作品との比較作品研究などを行っていきたい。
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