2011 Fiscal Year Annual Research Report
カップル間契約の自由の領域を確定する-日仏比較を通して
Project/Area Number |
22830003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大島 梨沙 北海道大学, 大学院・法学研究科, 助教 (20580004)
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Keywords | 婚姻法 / フランス / 家族法 |
Research Abstract |
本研究は、多様なカップル形態が存在する現代の日本において、(婚姻夫婦を含む)各カップルが自律的に自分たちの関係を形成する法律上の可能性を模索するにあたり、その法的限界となるものの理論的根拠を提示することを目的とするものであった。カップルの自律的関係形成の法的制約の根拠としては、主に、家族法上の根拠((1))と、契約法上の根拠((2))、および憲法上の根拠((3))が考えられるが、前年度は、(1)および(2)の一部を分析するにとどまった。そこで、最終年度である平成22年度は、(1)と(3)を中心に、残された自律制約根拠について検討を行った。 まず、(3)については、憲法上の婚姻保護・家族保護規定や子どもの権利などが、カップルの自律制約根拠となりうる。この点については、性的マイノリティのカップル関係形成をめぐる世界各国での議論状況を参照することにより、一定の示唆が得られた(後掲「図書」欄『性的マイノリティ判例解説』の編著)。 次に、(1)にあたるものとして、カップルの自律を制約する最も大きな根拠となりうるのが「婚姻制度」の存在それ自体、あるいは「婚姻(法律婚)の尊重」である。これについては、札幌身分法家事実務研究会、関西日仏法研究会合宿、日本家族〈社会と法〉学会等で中間報告を行い、出席されていた実務家・フランス法研究者・家族法研究者から多くの教示を得た。それらを踏まえた研究成果を、北大法学論集に公表しているところである(連載中)。 最後に、(1)~(3)を総合的に検証したうえで、本研究の成果として論文にまとめる必要があるが、上記(1)の成果公表に時間がとられたため、平成22年度中の論文完成はかなわなかった。しかしながら、(1)~(3)それぞれの分析によって見通しが得られており、本年中には論文にする予定である。
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Research Products
(7 results)