2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22830007
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
小瑶 史朗 弘前大学, 教育学部, 講師 (50574331)
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Keywords | 国際理解教育 / 地域展開 / 社会科 |
Research Abstract |
本研究では、異文化'・異民族との直接的な接触が制限され、国際社会との結びつきを実感しにくい地域において、国際理解教育をいかに普及・定着させるか、その理論的枠組みと教育実践上の手立てを解明する基礎的作業として、青森県における国際理解教育の実施状況と課題の把握に取り組んだ。その際、平成23年度は、前年度に収集した教育実践資料の分析を進めるとともに、関係者への聞き取り調査を行った。 その結果、青森県内では国際理解教育を推進する機関・団体は存在するものの、地域的特質・課題を踏まえた展開には至っていないこと、それを支える理論的言説やカリキュラム、実践事例なども不足していること、また「国際理解」の意味が外国語教育や国際交流活動などの表層的な次元で理解される傾向にあること等の現状を把握した。同時に、地域的素材・課題を取り上げた社会科教育実践の蓄積を検討し、1970~80年代を通じて原子力発電所問題や第1次産業の衰退を主題にした実践研究が活発に展開されてきたものの、その後、退潮していることを把握した。 こうした現状を受け、地域資源・課題を活用した国際理解教育の理論的枠組みを構築する必要性を確認し、その基礎的作業として国際理解教育の歴史的展開の中から、日本国内の課題を強く意識されていた1950年代に焦点を当て、その論理構造の解明に取り組み、その成果を論文として投稿した。そこでは、1950年代の国際理解教育が国内的課題ないし民族的課題を強烈に自覚してきたのに対し、1980年代以降は対外的な貢献・協力が中心的課題に置かれてきたこと、この理論的枠組みが地方の現実的課題と齟齬を持ち始めていることを論じた。この1980年代型の思考様式を刷新し「地方固有の迫り方」を支える理論的枠組みを新たに考案するとともに、「地方」で取り組まれている国際理解教育の実践事例を広く収集・分析して具体的な実践モデルを交換することが今後の課題であり、現在、その作業と思索を継続している。
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Research Products
(1 results)