• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2010 Fiscal Year Annual Research Report

社会保障法における契約の浸透とその意義

Research Project

Project/Area Number 22830008
Research InstitutionTohoku University

Principal Investigator

嵩 さやか  東北大学, 大学院・法学研究科, 准教授 (00302646)

Keywords社会法学 / 社会保障法 / 契約 / 連帯
Research Abstract

本研究は、近年社会保障の領域で見られる民法秩序・契約秩序の拡大につき、その本質的意義を検討すると同時に、それを手がかりに社会保障の法理念のひとつである連帯の理念の根拠について分析することを目的とする。
本年度は、本研究の前半として、個別の社会保障制度における法改正の検討と判例・学説の分析を行った。とりわけ、企業年金における受給者減額の具体的事例を素材に、受給者減額における権利濫用や信義則の適用のあり方や契約解釈について検討を行った。ここでは、私的制度(企業年金)の持続可能性の実現のため、私人間の連帯を基盤とした民法秩序が機能することが明らかにされ、これにより、公的年金制度の持続可能性を保持するための国家介入がもつ意味の相対化を可能とした。つまり、国家が公的年金制度の持続可能性を高めるために私人の自由や権利を制限することは、国家と個人との間の特殊な関係に基づくのではなく、企業年金のように私人間でも民法秩序(信義則など)を通じて実現されていることなのであり、両者の間に本質的相違は存在しないのかもしれないとの仮説が立てられるに至った。このことは、年金制度の民営化を論ずる際に、国家の役割などを議論する上で重要な示唆を与える。
また、本年度では、現在議論されている債権法改正案が社会保障法に与える影響についても考察した。ここでは、消費者契約法での規定をより一般化して取り込む改正案や、契約の成立について従来の判例・通説に照らしてより規制を強化する改正案などは、措置から契約へ移行した介護保険や障害者自立支援の領域などに影響を与えることが予想された。この分析は、弱者保護を基軸とした民法秩序の整序が、社会保障法における当事者の法的関係を支える重要な基盤を築いてきていることを明らかにしている点で意義がある。

  • Research Products

    (1 results)

All 2010

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] 自社年金における受給者減額の有効性2010

    • Author(s)
      嵩さやか
    • Journal Title

      判例時報

      Volume: 2090巻 Pages: 194-198

URL: 

Published: 2012-07-19  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi