2011 Fiscal Year Annual Research Report
セミパラメトリックアプローチ及び拡張逐次ロジットモデルを用いた旅行便益の実証分析
Project/Area Number |
22830011
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
野原 克仁 北星学園大学, 経済学部, 講師 (80584854)
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Keywords | 旅行需要関数 / セミパラメトリックアプローチ / オンサイトサンプリング / 便益評価 |
Research Abstract |
旅行需要関数の推定やその便益の計測を行うためには,オンサイトサンプリングによりデータ収集することが望ましい.しかし,オンサイトサンプリングにおいてはデータが過剰分散することが知られており,負の二項回帰による分析が一般的に行われてきたが,必ずしも過剰分散を的確にとらえているとは言えない.そこで,本研究では,ガンマ分布からの乖離部分を考慮するため,乖離する部分をラゲール多項式展開によって近似することに基づくセミパラメトリックアプローチを検討することで,より過剰分散に対応した精緻な推定を可能とする新たな推定方法の提案を行った. 今年度においては,収集したデータを整理し便益計測を行うことに主眼を置いた.特に,前年度において推計できなかった家計生産関数のパラメータを拡張逐次ロジットモデルを用いた推定を行ったが,有益な結果が得られなかった.そこで,セミパラメトリックアプローチからさらに発展させ,より安定した推計が可能となるような手法として,乖離部分に逆正規分布を仮定する方法の採用を試みた.その結果セミパラメトリックアプローチよりも,有意となる変数が増加することが判明した.需要関数における推定方法の確立はかなり深く研究することができたが,家計生産関数の推定においては依然,問題を残したままである.しかし,需要関数と二段階で推定する方法も考えられ,新たな課題として検討する余地があることが判明した. 本研究から,オンサイトサンプリングによるアンケートデータを用いた便益計測を行う際に,個人のレクリエーション経験を加味した便益計測が可能であることを示すことができたと言え,体験・学習型のレクリエーションの重要性を主張する根拠として強力な分析ツールとなり得る可能性を示せたと言えるだろう.
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