2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22830013
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Research Institution | Toyo Gakuen University |
Principal Investigator |
菅野 洋介 東洋学園大学, 現代経営学部, 専任講師 (00579980)
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Keywords | デザイン・マネジメント / 組織設計 / 製品デザイン / 製品開発プロセス |
Research Abstract |
本年度は、(1)製品デザインに関わる組織構造と開発プロセスにおける重要要件の明確化と理論枠組みの構築、(2)理論枠組みにもとづいた実証、(3)以上を踏まえた今後のデザイン・マネジメントの研究課題の提示、という3つの研究内容に取り組んだ。 第一に、昨年度に実施したインタビュー調査結果にもとづき事例分析を行い、デザインを創出する組織構造と開発プロセスにおける重要要件を抽出するとともに、理論枠組みの構築を図った。具体的には、全社的なデザイン戦略と、組織構造や開発プロセスとの関係を検討し、デザインの機能・領域を拡充させたデザイン戦略のもとでは、デザイン部門の主体性や独立性を重視した組織構造と開発プロセスを設計することが重要であることを明らかにした。同時に、デザイン部門が事業部門に帰属することで得られるメリットを担保するための組織的仕組みや開発プロセスにおけるコミュニケーション・パターンをつくる工夫が必要であることを明らかにし、それらの要件をもとにした理論枠組みを構築した。 第二に、構築した理論枠組みにもとづいて質問票を作成し、グッドデザイン賞受賞企業(過去2年以内に受賞した、自動車、家電、日用品等の製造業企業)を対象とした質問票調査を実施した。その結果、先進性や革新性の高いデザインの創出には、単にデザイン部門を分離させたり、製品開発プロセスの早期からデザイン部門を主体的に参加させたりするだけでは不十分であり、全社的なデザイン戦略、コンフリクト解消方法、意思決定方法などの諸要因が重要な影響を及ぼすことを明らかにした。 最後に、今後のデザイン・マネジメントの研究課題として、組織的仕組みや開発プロセスの設計と、デザイナーをはじめとした組織成員のコミュニケーションのパターン、最終的なデザイン・アウトプットの性質という3つの要因間の論理的な関係やマネジメント上の要件を明らかにする必要性を提示した。
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