Research Abstract |
平成22年度には,第一に,パネル調査および国際比較の実施に先駆け,藤・吉田(2009)によって作成されたインターネット上での行動内容に関する尺度項目の改善,ならびに,信頼性・妥当性の検討を目的として調査を実施した。具体的には,高校1・2年生を対象に,クローズ型ウェブ調査を実施し,360名(男性194名,女性166名)の回答を得た。まず,インターネット上での行動内容に関する項目について因子分析を行ったところ,藤・吉田(2009)で示された因子構造とほぼ同様の因子構造(3領域・9因子)が示された。また,インターネット行動内容の各因子について,α係数を算出したところ,いずれの因子でも十分に高い値が見られた。さらに,インターネット行動内容項目と関連すると想定される外的基準との相関を検討した結果,いずれも,有意な相関係数が示された。したがって本調査を通して,十分な信頼性と妥当性を備えたインターネット行動尺度を開発することができたと考えられる。 また第二に,上記の調査によって開発された尺度項目と,現実生活における社会性・攻撃性との関連性について検討を行った。その結果,インターネット上での"自己演出""攻撃的言動""没入的関与""依存的関与"は,現実生活での攻撃性と結びついていることが示された。また,インターネット上での"対人関係拡張"は現実生活での社会的ネットワークの広さと,"所属感獲得"は現実生活での孤独感と関連していることも明らかとなった。
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