Research Abstract |
平成23年度には第一に,昨年度に開発し,信頼性と妥当性を検証したインターネット行動尺度短縮版(Behavior on the Internet Triadic Scale;BITS)を用い,インターネット上での様々な行動が現実生活における社会性・攻撃性に及ぼす影響について,約12ヶ月の期間をおいた縦断的パネル調査により検討した。前年度において調査に回答した高校生360名を対象にクローズ型ウェブ調査を実施し,179名(男性101名,女性78名)の回答を得た。その結果,Time1での"自己開示"によって,Time2での孤独感が高められるが,その一方で,Time1の"自己客観視"はTime2での孤独感を低減していることが示された。ならびに,現実生活における攻撃性と,インターネット上での攻撃性および没入性は,相互に促進しあう関係性にあることが明らかとなった。 また第二に,韓国の高校生を対象にクローズ型ウェブ調査を実施し,300名(男性150名,女性150名)からの回答を得た。そして,インターネット上での行動内容について,日本-韓国間で比較を行った。その結果,ネット上での"自己客観視""依存的関与""非日常的関与"については日本の方がより多くみられることが示された。一方,韓国では,"対人関係拡張""攻撃的言動"についてより頻繁に見られることが明らかとなった。なお,こうした行動内容の違いは,第一にインターネットそのものに対する印象,第二にコミュニケーション全般に対する信念,第三に既存メディアへの信頼感の違いによって説明される可能性が示唆された。
|