2011 Fiscal Year Annual Research Report
デフォルトのタイミングを考慮した債権回収率の計量モデルの構築
Project/Area Number |
22830029
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
伊藤 有希 横浜国立大学, 経営学部, 准教授 (70579606)
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Keywords | 信用リスク / 回収率 / 確率過程 / 計量ファイナンス |
Research Abstract |
信用リスク移転証券が、リーマンショックをはじめとする経済危機の主な原因の一つになっている。経済危機を克服するためにも信用リスク量をより正確に把握することが大きな課題となっているにも関わらず、信用リスクの最も重要な要素の一つである債権回収率の研究はほとんど行われていない。本研究の目的は個別の企業のデフォルトのタイミングと債権回収率の関係性を分析し、より精緻な債権回収率の計量モデルを構築し、また、そのモデルを用いて信用リスクの特性について分析を行うことである。 平成23年度は、過去にデフォルトを起こした企業のデフォルト以前の財務データ、債券価格、株価およびデフォルト後の回収データなどからデフォルト以前の企業の状況と回収率の関係を調べた。海外および日本の回収率に関する先行研究についてサーベイ研究を行った。米国での研究ではデフォルト確率と回収率は相関を持ち、それらがマクロ変数に影響を受けるという結果が出ている。本研究でもマクロ変数および他の変数がデフォルトのタイミングおよび回収率に影響を与えているかを実証分析した。 また、平成22年度の理論モデルの研究の成果と今年度の実証分析の結果から得られた知見を元に新たなデフォルトタイミングと回収率の関係の理論的なモデルの構築を試みた。モデルよりデフォルト時点の分布および回収率の期待値や分散が求められた。また、貸し手にとって最適なデフォルトのタイミングを求められた。
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Research Products
(2 results)