2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22830030
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
田尾 亮介 政策研究大学院大学, 政策研究センター, 客員研究員 (50581013)
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Keywords | 公法学 / 行政法 / 財政法 |
Research Abstract |
本研究課題の出発点となった問題意識は、様々な場面において社会的資源が枯渇しつつある現下、社会全体で生ずる公的ニーズを実現するための方策の一つとして、地域の主体によって地域全体の公益的価値を創造していく仕組みを「制度」にまで引き上げ、そうして構想された制度からいかなる法的パースペクティブが得られるかを考察する点にあった。そして、諸外国の事例も含めた具体的事例に即した調査研究と文献研究とを並行して行うという研究方針のもと、本年度は、近時、アメリカ、イギリス、ドイツにおいて広範に見られるBusiness Improvement District(BID)制度や、アメリカにおける「私人による土地利用規制」の典型とされるHomeowners Associations(HOA)に関して、現地調査も含めた研究を行った。 諸外国の法制度を概観すると、民間主体による地域内の公共施設の維持管理にとどまらず、負担金の強制徴収など公権力的な要素もあり、日本から見れば、純粋な民事契約を用いた私法のしくみとも、公権力を用いた公法のしくみとも異なる、両者を組み合わせた制度が展開されていることを知ることができた。この点に関する更なる探究は次年度以降の研究課題としたい。幸い、本年度における研究は当初掲げた到達目標との比較において順調に成果をあげつつあり、次年度に続く本研究の礎となっている。 なお、本研究課題とは直接の関わりはないものの、それに付随する研究として、公会計に関する一連の研究成果がある(研究発表欄・学会発表(1)、同・雑誌論文(1)が該当)。近時、重要性が増しつつある公会計の概要と果たす役割について論じたもので、国をはじめとした公的部門の会計に企業会計的手法を導入する上での前提となる諸問題につき、考察を加えるとともに新たな分析視角を提示した。
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