2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22830036
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
木村 健太 関西学院大学, 文学研究科, 博士研究員 (40589272)
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Keywords | 予期 / 学習 / 予測誤差 / 情動制御 / 後期陽性成分 / 扁桃体 |
Research Abstract |
本研究の目的は、情動価の予期がどのように刺激処理を調節するか認知神経科学的方法を用いて検討することである。この研究目的のため、初年度においては学習により形成された刺激の不快度の予期が視覚的情動刺激(不快画像)の処理にどのように影響を及ぼすかを検討した。その結果、同程度の不快画像であっても、高い不快度の画像と対呈示された手がかり刺激の後に呈示された場合では、より不快であると評定され、事象関連電位の一種である後期陽性成分の振幅が大きかった。このことから学習により形成された情動価の予期は、予期の内容に基づき視覚刺激の処理を調節することが分かった。また、後期陽性成分は刺激への注意容量の配分や符号化を反映するという先行研究から、不快度の予期は不快画像に対する注意配分を調節することが分かった。しかし、初年度で行った研究では、不快度の予期は不快画像の処理のみを調節するのか、中性画像においても同じような調節が観察されるのかは明らかではなかった。このため本年度の実験において、不快画像を予期させる視覚刺激の後に中性刺激を呈示する条件を設定し、この中性刺激に対する主観的不快度評定と後期陽性成分を測定することでこの検討を行った。その結果、初年度観察したように、高い不快度の画像を予期させる手がかり刺激の呈示は中程度の不快画像に対する主観的不快度を高くするように働き、同時に後期陽性成分の振幅を大きくした。一方、同様の操作は中性刺激に対しては観察されず、情動価の予期は中性画像の主観的評価・刺激処理に影響を与えないことが明らかとなった。これらの結果から、学習と教示に基づき形成された情動価の予期は、予期の内容に基づき視覚刺激の処理を調節するが、この効果は後続の刺激が情動価を持っている場合に限る可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)