2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22830038
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
亀岡 京子 京都大学, 経済学研究科(研究院), 研究員 (80589614)
|
Keywords | 外部化 / 業務の標準化 / 臨床開発 / CRO / ドラッグ・ラグ |
Research Abstract |
本研究の目的はドラッグ・ラグの解消を目指して企業側から経営戦略としてどのような取り組みを行うことができるかを検討することであった。その原因として従来多くの場合、審査機関の審査官不足が挙げられ、制度上の問題という観点から解決策が模索されてきた。一方で、別の既存研究の調査では医薬品企業の業務の効率化がドラッグ・ラグ解消の一助となることは指摘されている。そこで、今回の研究ではその業務の効率化を阻む要因が何なのか、どうすればより効率的な臨床開発プロセスが可能になるのかを検討することでドラッグ・ラグ解消に向けた企業からのアプローチが可能になるのではないかと考えた。 そこで、予備的調査としていくつかの企業に聞き取り調査を行い、業務の効率化の一環としての外部化の進捗度合を調べてみた。その結果、欧米諸国の医薬品企業が行っているような効率的な臨床開発業務が日本では定着しておらず、ルーティンな部分まで含めて日本の医薬品企業は臨床開発業務の全工程に関わろうとする傾向がみられることが確認された。その原因には2つの側面があった。(1)医薬品企業(特に内資系)のCRO(開発業務受託機関)への信頼感の欠如(2)臨床試験を実際に手掛ける病院等の機関がCROではなく医薬品企業との接点を望むというものである。 このような経緯から、外部化が先行する欧米において、日本企業がどのようにその環境に適合し、取り組んでいるのかを調査対象として絞り込んでいった。具体的には日系企業1社に着目し、その英国研究所と米国研究所、そして日本本社のオペレーションの違いを聞き取り、それが何に起因するものかを調査することにした。実際に渡英・渡米し、研究所の人々の話を聞くと、ルーティンに経営資源を割くことができないというプロセスのマネジメントの問題が明らかになってきた。現在、論文発表に向けて結果を取りまとめ中である。
|