2010 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトを含む霊長類における社会的パートナー選択についての種間比較とその脳神経基盤
Project/Area Number |
22830040
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
倉岡 康治 京都大学, 霊長類研究所, 特定助教 (10581647)
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Keywords | 社会的認知 / ニューロン活動 / fMRI / サル / ヒト |
Research Abstract |
ヒトを含む霊長類にとって、パートナーの選択は、社会生活を送る上での重要な意思決定の1つである。本研究の目的は、利益獲得のためのパートナー選択をヒトとサルで比較し、戦略の種差について検討するとともに、さらにその脳神経基盤を明らかにすることである。ヒト実験では金銭的報酬を与えてくれるパートナーの選択戦略と、確率的に報酬が得られるスロットマシーンの選択戦略を比較した。実際にはパートナーにサクラを用いることで、報酬獲得確率をパートナー選択とスロットマシーン選択で同じに設定していたにも関わらず、被験者はスロットマシーン選択よりパートナー選択において、より高い確率であまり報酬を与えてくれないパートナーも選択していた。この結果はパートナー選択においては、自己の利益獲得を目的にするばかりでなく、全てのパートナーに対する配慮が働くためであることが示唆される。現在fMRI装置を用いて、このパートナー選択の際に関わる脳領域を調べる実験を進めている。サルの実験ではおもに課題の訓練と装置のセットアップを行った。課題は目の前のディスプレイに提示される同種他個体の顔刺激の視線を手掛かりに左右の選択肢から1つの正解選択肢を選ぶことで液体報酬の獲得を目指すものである。刺激個体によって視線が正解選択肢を向いている確率が異なっており、被験体に刺激個体を自由に選択させることでパートナー選択戦略を調べる課題となっている。まずは被験体に選択肢を手で選択させる訓練を行ったが、これではなかなか課題をこなすことができないことが明らかになったため、現在は視線で選択させる課題に変更して訓練を行っている。被験体が顔刺激を見たときの自律神経応答を記録したところ、特定の顔刺激に対して情動反応を示すことがみられた。また単一神経細胞活動記録用の生体アンプを購入し、次年度に向けて脳内活動記録システムのセットアップも行った。
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