2011 Fiscal Year Annual Research Report
温暖化防止のための国際的枠組みの評価に用いる、動学的応用一般均衡モデルの構築
Project/Area Number |
22830042
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
爲近 英恵 大阪大学, 経済学研究科, 助教 (30581318)
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Keywords | 応用一般均衡モデル / 技術選択 / ポスト京都 / 動学的応用一般均衡モデル |
Research Abstract |
1.Global Trade Analysis Project(以下、GTAP)7データにInternational Energy Agencyの二酸化炭素排出量データを統合したベンチマークデータを作成し、8地域5部門の動学的応用一般均衡モデルを構築した。同モデルを用いて、2050年に二酸化炭素濃度を550ppmCO2eq.に安定させる長期目標を達成するための排出枠の各国間の配分方法について分析を行った。配分方法は(1)2050年時点のひとりあたり排出枠を国間でひとしくする方法と(2)1950年から2050年までのひとりあたり累積排出量を等しくする方法の2つを考慮し、各国は国際排出権取引を用いて二酸化炭素排出量を削減すると仮定する。途上国は、(2)の配分方法を支持しているが、一部の途上国は(2)の配分方法においても長期的には排出権購入国に転じることが示されており、(2)の配分方法が途上国にとって必ずしも望ましいものではないことが示されている。 2.まず、GTAP6データをベンチマークデータとする3地域(附属書B締約国・旧ソ連・途上国)6部門(石炭、石油、天然ガス、石油・石炭製品・電力、その他産業)の静学的応用一般均衡モデルを構築し、発電部門に8種類の生産関数(石炭火力・石炭火力、石油火力、天然ガス火力、原子力、水力、風力、太陽光・太陽熱、バイオマスの8技術)を設定することで、内生的な技術進歩を組み込んだ応用一般均衡モデルを構築した。3地域の発電部門において石炭火力シェアを減少させるシナリオ(ただし二酸化炭素排出量の削減義務は課さない)を想定し、構築したモデルでシミュレーションを行い、モデルの挙動を確認した。確認後、同モデルを動学モデルに拡張した。
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