2010 Fiscal Year Annual Research Report
サブ・サハラ・アフリカにおける文化的アプローチを取り入れた学力評価法の開発研究
Project/Area Number |
22830050
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
内田 豊海 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 研究員 (00585846)
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Keywords | 診断的評価 / サブ・サハラ・アフリカ / 文化的アプローチ |
Research Abstract |
本研究は、サブ・サハラ・アフリカ諸国で、これまでに実施された大規模な学習到達度調査では掬いきれなかった生徒の形成学力に、文化的視点を取り入れた学力の診断的評価法を開発・実施することで、近接しようとするものである。1年次である2010年度は、構想発表を8月にアフリカ教育研究フォーラム(於:大阪大学)で、また開発した診断的評価法の妥当性に関する研究発表を1月に全国数学教育学会(於:愛媛大学)で行った。そして、それらを踏まえ、3月にマラウイで現地調査を実施した。 調査ではマラウイにおける言語的困難性に着目し、算数科の文章題をとりあげた。調査対象として、都市部、農村部の初等学校1校ずつより、3~7学年生それぞれ6人ずつ計60人を選出した。調査手順は、まず生徒は英語で書かれた問題文を音読する。読み終わった後、問題解決できない生徒には、英語で題意を説明したり、現地語の文章問題に切り替えたり、問題で取り扱っているものを実際に見せ操作させたりといった幾つかの段階を設定し、どの段階で問題解決に至るのかを調べた。調査には、生徒の担任教師が同伴し、翻訳を請け負った。 調査結果より、特に5学年以下の生徒の多くは、英語を読めてもその文脈を把握できないこと、そして、現地語の文章を読んでも、問題解決に至らない生徒が多々存在することがわかった。さらには、担任教師が現地語で丁寧に題意を説明しても、問題解決できない子どもの存在も明らかになった。また、生徒の問題解決法を観察することより、マラウイの生徒は筆記による計算より、口や指で数えながら計算する手法に長けていることが確認された。 調査の副産物として、インタビューを通して生徒の抱える困難点がわかるに連れ、調査に協力する教師が生徒の実情を把握していなかったことに気づき、その内幾人かは、いかに教授すべきかを調査者と議論するに至った。
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