2010 Fiscal Year Annual Research Report
義務教育の学費、教育投資と所得配分:ベトナムの家計データによる実証分析
Project/Area Number |
22830055
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
木村 雄一 大分大学, 経済学部, 准教授 (80419275)
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Keywords | 教育投資 / 資金制約 / 所得配分 / 貧困削減 / 就業選択 |
Research Abstract |
途上国において1)都市部を中心とした賃金雇用部門における教育の収益上昇が、農村家計の子供への教育投資にどのように影響するか、また、2)教育水準が、修学後の就業地域と就業部門選択を通じて、所得配分にどのように影響するかについて、ベトナムの家計データを用いた実証分析を行った。 この年度は、1)の教育の収益の推定のためのパネルデータ作成を行った。農村から都市へ移動した労働者の1992年から2006年までの14年間のパネルデータによる分析から、農村出身者が都市労働市場へ参入したときに直面する教育の収益は、この期間の経済発展によって大幅に上昇したことが分かった。 農村家計についての教育投資関数の推定から、教育投資は、この都市労働市場と、農村非農業部門(賃金雇用部門)の教育の収益と正の関係を持つことが分かった。農村家計が将来の就業部門における教育の収益を合理的に勘案して教育投資を決めていることの左証である。また、出身地域での修学水準が高いほど、修学後の都市へ移動し都市労働市場へ参入する可能性が大きいことが分かった。 教育の費用の面では、義務教育終了後の中等教育段階(高校)への進学に対して家計の所得水準が正の相関を持つことから、教育投資に資金制約があることが分かった。この結果は、初等教育段階から発生するかなりの教育費用が累積的に家計を圧迫することによって、中等(高校)の進学に負の影響を与えていることを示唆している。
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