2011 Fiscal Year Annual Research Report
湾岸諸国における女性の超国家的ネットワークとアイデンティティ構築に関する研究
Project/Area Number |
22830065
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Research Institution | 高知県立大学 |
Principal Investigator |
辻上 奈美江 高知県立大学, 文化学部, 講師 (30584031)
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Keywords | 国際関係論 / ジェンダー論 / 移民研究 / 湾岸諸国 / トランスナショナリズム |
Research Abstract |
本研究の第一義的目的は、湾岸諸国における女性のネットワークがどのようにつながり、広がっているのかを考察することであった。また、国家を超えたヒトとモノの流通が高速化・拡大する湾岸諸国において、自国民と外国人はそれぞれどのようにアイデンティティを構築しているのかについて検討することである。 当初の研究実施計画では、湾岸諸国における国籍別婚姻関係および国籍別コミュニティについて解明することとしていた。だが、調査と研究を進めるうちに、これまで湾岸諸国で調査研究を行ってきた研究者に求められていることは、むしろ雇用主と被雇用者の関係についてジェンダーの視点から検討することであることがわかった。そこで本研究期間を通じて、研究者はサウディアラビアおよびフィリピンでそれぞれ2回、カタルで1回の現地調査を行ったが、その際、女性外国人労働者とその雇用主、送り出し国および受入国の人材派遣会社、海外雇用庁や大使館をはじめとする政府機関などうを中心に意見を聴取した。 特にこれらの調査研究は、研究者が研究分担者となっている基盤研究(B)「湾岸諸国における外国人労働者:「多外国人国家」における共生・分断モデルの構築」を活用することで、より効率的に作業を進めることができた。同研究会がカタル大学と合同で開催したInternational Workshop on the Making of Gulf Migration:From Macro and Micro Perspectivesにおいては、Studying Migrant Workers to the Gulf:The oretical Frameworks and Research Trendsについて発表を行った。 また本研究では、湾岸諸国への注目度がかつてなく高まっている背景も考慮し、積極的にアウトリーチ活動を行った。とりわけ朝日新聞のウェブマガジン『中東マガジン』にはは、「サウジのビザ発給停止の背景」、「中東出稼ぎフィリピン人メイドの故郷を見てわかったこと」など複数の報告を投稿したが、このうち「メイド処刑で波紋が広がるサウジ・インドネシア関係」は朝日新聞の「編集者が選ぶ注目の論考」に選ばれた。
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