2010 Fiscal Year Annual Research Report
小学校通常学級在籍児のためのディスレクシア・スクリーニング検査と指導法の開発
Project/Area Number |
22830084
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
原 惠子 上智大学, 外国語学部, 准教授 (00583741)
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Keywords | 特別支援教育 / ディスレクシア / 通常学級 / スクリーニング / 指導法 |
Research Abstract |
小学校低学年でのディスレクシア発見の一助となることを目的として、通常学級担任が大きな負担なく実施できるディスレクシア・スクリーニング検査試案を作成し、小2・小3を対象に調査を行った。検査課題は(1)音韻操作課題(音韻意識評価)、(2)単語(有意味語・非語)音読課題(ディコーディング能力評価)、(3)文章の音読・読解課題(読み能力評価)である。課題の視覚的・聴覚的刺激はすべてPCを通して提示し、PCのキーを押す/マウスをクリックするだけで検査が実施できる。検査者は課題の成否と反応時間をストップウォッチで計測する。所要時間は生徒一人あたり10~15分で、検査者にも生徒にも負担が少ない。22年度は通常学級の小2・小3を対象にデータ収集を行った。分析対象は小2が94名、小3が84名、計178名である。音韻操作課題結果では、小2で5名、小3で3名、ディコーディング課題結果では小2で4名、小3で4名が学年平均より大きく乖離(1.5SD)していた。両課題で重複したものがおり、結局、小2で7名(7.4%)、小3で6名(7%)が音韻操作あるいは/かつディコーディングに弱さがあるディスレクシアのリスク児と考えられた。音読・読解検査では小2の3名が学年平均から大きく逸脱した結果であった。これらを合わせ最終的に、小2の8名(8.5%)、小3の6名(7%)をリスク児と判断した。それらの児の担任にLDI-Rの実施を依頼し、その結果と読書力診断検査の結果等から、検査の精度を検討する。反応時間測定が実施上負担になること、読解問題の数・内容吟味の必要性が見出された。これらについて改善したものを作成し、次年度調査予定である。指導法に関しては、ディスレクシアと診断された児童の低・中・高学年3名ずつの指導グループを形成し指導を開始した。低学年はディコーディング能力の改善に重点を置き、語彙・構文等言語能力全般の発達を促すことを目標としている。中・高学年では読解力育成に重点をおき、各児の能力、認知特性を考慮した学習スタイルの自覚を促すことも目的としている。次年度も指導を継続し、半年ごとに効果を検証する予定である。
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Research Products
(2 results)