2011 Fiscal Year Annual Research Report
小学校通常学級在籍児のためのディスレクシア・スクリーニング検査と指導法の開発
Project/Area Number |
22830084
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
原 惠子 上智大学, 外国語学部, 准教授 (00583741)
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Keywords | ディスレクシア / スクリーニング検査 / ディコーディング / 音韻操作 / 単語音読 / 文章音読 / グループ指導 / 通級指導 |
Research Abstract |
本研究の目的は(1)ディスレクシアスクリーニング検査と(2)指導法の開発である。目的(1):23年度は22年度に実施した小2・小3対象の検査結果を読書力診断検査(以下読書力検査)、LDI-Rと比較検討した。読書力検査総合評価点が1および2の約半数に本検査ではリスクが認められなかった。逆に本検査でハイリスク、かつLDI-RでLDの可能性が高いと判断されたものに、読書力検査結果が3以上のものが見出された(小2で1名、小3で3名)。かれらは高学年で問題が顕在化するディスレクシアの可能性がある。読書力検査と本検査では異なる能力を評価しており、本検査は既存の読み検査では見出されないリスク検出に有効と考えられる。本検査をPC上で課題提示し、児童の反応時間を自動計測できるCDを作成した(Easy Literacy Check: ELC)。目的(2):ディスレクシアと診断された4名(小2:1名、小3:3名)を対象に1年間グループ指導を行い、効果を検討した。単語の長さと難易度、文節数、構文、テキスト全体の文数、内容等を吟味して教材を作成した。教材は分かち書きにし、行間スペースや行の配置等を配慮した。単語・文節の流暢性を高めてから、句、文、テキスト全体への流暢性へと進めた。語彙を広げ、言語力全般の発達を促した。対象児が負担なく毎日読めるような家庭教材を作成し、読み練習の頻度を確保した。定期的に単語、単文、複数文章の音読の正確さと時間を計測したところ、音読時間が減少し、向上が認められた。読みの向上を本プログラムだけに帰すことはできないが、学校では机にうつ伏している児が、リラックスして積極的に取り組む姿が見られ、同じ困難さをもつ者のグループ指導が意欲を支える意味が示唆された。こうした読み困難児を取りだした指導形態は通級指導と共通し、本研究で考案された指導プログラムは通級での指導に有効に活用できると考えられる。
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Research Products
(3 results)