2010 Fiscal Year Annual Research Report
発達データ分析のためのセミパラメトリック軌跡分析法およびソフトウェアの開発
Project/Area Number |
22830085
|
Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
岡田 謙介 専修大学, 人間科学部, 講師 (20583793)
|
Keywords | 発達データ / セミパラメリックモデル / 軌跡分析 / 階層モデル / 発達心理学 / 信頼性 |
Research Abstract |
人間は周囲の人々からの働きかけを受けながら成長・発達する。発達の過程を統計学的にモデリングし、類型化し、将来の問題を予測する要因を探すことは教育心理学における重要な課題である。そのために役立つ軌跡分析法の拡張を提案し、またその実用性を評価することが本研究課題の主要な目的であった。同目的を達成するため、本年度は第一に、軌跡分析法に学級・学校・地域のような階層的な構造を取り入れる階層(マルチレベル)モデルの構築、およびその検証の研究を実施した。第二に、軌跡分析において心理学で多様される様々な構成概念を適切に扱うため、潜在変数を取り入れる拡張についての研究を実施した。潜在変数を取り入れるにあたっては際してはその測定の信頼性(概念的には同条件で2度測定したときの相関係数)がとくに重要となるため、信頼性を適切に測定するためのさまざまな方法論を、数値シミュレーションおよび実データを使って比較検討した。また第三に、さらなる拡張のために、マルコフ連鎖モンテカルロ法を用いた推定法の開発およびその評価を行った。同方法は複雑な統計モデルに対する統計的推定の強力な手段となりうるが、本研究で考えるモデルについてはラベルスイッチングと呼ばれるような解の不定性が問題となるため、これに対処するための方法論を開発し、また数値シミュレーションを用いて評価した。これらの研究成果の一部は、論文3篇や学会発表の形で発表された。また、本研究課題では研究成果を広く研究者に利用してもらえるようにするため、研究成果のソフトウェア・プログラムを公開することも目的としている。この目的を達成するため、本年度の成果としてすでに出版された2篇にはプログラムも掲載されており、これを用いて応用研究者が結果を再現し、また自分のデータに適用することが可能である。
|