2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22830090
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Research Institution | Meiji Gakuin University |
Principal Investigator |
田中 孝憲 明治学院大学, 経済学部, 講師 (50587285)
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Keywords | 企業統治 / 企業金融 / 応用計量経済学 |
Research Abstract |
今年度は、企業統治の構造と資本市場における企業の資金調達コストとの関係について、どのような企業統治メカニズムが企業の資金調達コストを上昇させるのか、あるいは低下させるのか、日本のデータを用いて実証分析を行った。 先行研究においては、資本市場が発達しているアメリカのデータに基づいたものがほとんどであった。しかし、経済全体において重要な役割を果たす企業統治のメカニズムというのは国ごとによって当然異なってくる。それに、アメリカにおける企業統治の構造と資金調達コストの関係が、他の国でも同じように成立するとは限らない。 また、日本における企業統治と資金調達との関連性に着目した研究は、銀行による企業統治と資金調達の関係を分析したものが大部分であった。90年代のバブル崩壊後、日本企業は資本市場における資金調達を進ある一方で、銀行による企業統治から脱却し、新たな企業統治システムを確立しようとしている。このような日本企業の状況を踏まえると、本稿の研究というのは極めて重要な視点であると考えられる。具体的には、日本の企業統治の構造が、社債発行の際の資金調達コストにどのような影響を及ぼすのか、実証分析を行った。分析結果から、経営者の持株比率、創業者一族の持株比率、法人企業の持株比率が、社債発行の際のコストに大きな影響を及ぼしていることがわかった。 来年度は、この企業統治と資本市場における資金調達の関係について、さらなる研究を進めていく。特に、調達した資金の債還期限と企業統治との関係に着目し、今年度行った調達コストとの関係も踏まえて、企業統治と資金調達との関連性を様々な視点から検証していく予定である。
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